今期最終戦は、雨でした。
それでも、今年からJ2に加わったお隣栃木SCとの対戦は、
お互いのサポーターの熱気に溢れ、
最後までもつれる試合となりました。
都倉へのハイボールは常に相手選手にサンドされ、
両ボランチへのチェックが早く、中盤でボール回しが思うようにできない、
苦しい展開。
どこまでこの流れが・・・と思いかけた前半半ば過ぎに、
ドリブルを仕掛けた若きコンダクター、佐藤穣のラストパスに、
都倉がゴールに向かって突進、出てきた相手GKの手が足に掛かり、PK獲得。
蹴る前から鳴り響くチャントの中、冷静に決めて先制。
その後も焦れた展開が続きますが、栃木に決定機は与えず、前半終了。
そして後半開始直後、敵陣右サイドでのスローインが佐藤穣に渡り、
相手DF裏のスペースに出したボールに、絶妙のタイミングで飛び込んだのは、
この日でザスパ最後の試合となる山崎。
爪先で捕らえたボールは、GKの手をかすめ、ネットを揺らした。
目前でのゴールに沸き立つスタンド。
そして続けざまの3点目は、松下のCKから高田がヘッドで完璧に合わせ、
GKがはじいたボールに間髪入れず詰めた有薗のゴール。
流れは一気にザスパに傾き、その後も佐藤穣のポスト直撃のシュートや、
佐田のオーバーラップからのクロスなど、チャンスを演出するも、
J昇格後初の4点目は来期にお預け、
足利の悪夢が頭をよぎる1点差まで追い上げられますが、
なんとか逃げ切って有終の美を飾りました。
この日も先発出場の本田は、
途中から雨が降り出す難しいコンディションにも冷静に対処、
相手のGKよりもずっと安定していました。
憶測ではありますが、
クラブとしても泣く泣く放出する形になってしまったと思います。
ザスパではないユニですが、その雄姿を来年も見たい、
そんな思いで最後のチャントを歌いました。
4点目が取れていれば、もっと長く観れたかもしれないと思った、
最後の寺田の姿。
7年前、初めて観に行った県リーグの試合でも、
彼は土のグラウンドを走っていました。
2005年、山形での独走ゴール、
2007年、最終節京都戦での劇的同点ゴール、
2008年、湘南戦でのシマとのコンビでのゴール、
2009年、横浜でのビューティフルカウンターでのオーバーラップ。
思い起こす素晴らしいシーンもあれば、
なかなかスローインを入れられないテラ、
ロングボールの目測を誤るテラ、
タッチ際でパスを受け損なうテラ、
クロスが宇宙になるテラ、
そんなシーンもしっかり頭に浮かびます。
でも、それも含めて、愛すべきザスパの象徴だった彼も、
とうとうザスパを去ることになりました。
これまで本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。
2007年、まだ雑草混じる五代グラウンドで練習しているチームに、
無給で加わった喜多。
大ケガ明けということもあり、おそらくザスパでの2年半は、
彼の本当の実力が出せたとは言い難かったでしょう。
しかし、若いDFラインのまとめ役として、
今期はキャプテンとして、チームを引っ張ってくれました。
レンタル期間を含め、3年間をザスパで過ごした藤井。
広島ユース黄金期を担った素質は疑う余地もなく、
気持ちのムラさえ克服できれば・・・、
で勝負の完全移籍、残念ながら今期が最後となりました。
まだ若いですし、どこかでその姿をまた観られることを祈っています。
今期完全移籍で神戸から加入した三澤。
そのスピードは素晴らしく、終盤FWとして入った試合では、
可能性を感じさせてくれました。
仙台戦での惜しいシュートもあり、育英出身という意味でも、
今後に期待したいところでしたが、契約は今期まで。
彼のスピードを生かせるところが絶対にあるはずです。
大宮からのレンタルでしたが、層の薄いCBとして加入した川原。
今期は尾本がケガで出られず、あまり高さのないDF陣の中で、
期待されていましたが、思った結果が出せず、
大宮からも契約満了となりました。
高卒加入から3年目。
そのドリブルに将来の中核の期待を担っていた佐藤大基。
結果的には期待に沿うような活躍ができず、今年でチームを去ることに。
2007年高卒組も、残すは小林だけになってしまいました。
関東リーグ時代にザスパに加入した山崎。
草津時代を知り、ケガを除き、今期までそのユーティリティ性を生かして、
先発でも途中出場でも、常に戦うチームの中にいました。
2006年、降格した神戸を開幕戦で破る口火を切ったゴール、
アルウィンでの鳥栖との撃ち合いで2ゴールを挙げた日も思い出深いです。
今期最終戦、DF裏に飛び出してゴールを決め、
最後まで彼らしいプレーを見ることができました。
クラブの歴史を作ってくれて、ありがとう。
今期有薗と共にU-23からトップ昇格した杉本でしたが、
公式戦でその姿を観ることなく、契約満了となってしまいました。
残念でしたが、下から這い上がってきたということは、
それだけ評価されていたということです。
その自信を持って、次のステップに向かってほしいと思います。
最後に、監督としては1年間で終わることとなった、佐野さん。
しかし、J昇格時からザスパの歴史と共に、この5年間を作り上げてくれました。
恵まれない環境の中、今日までクラブを支えてくれたことに感謝しています。
志半ばで貴重な人材が去ってしまうことが非常に残念でなりませんが、
残った人たちで、将来その魂が確実に生きていたと思ってもらえるよう、
歴史を作っていってほしいと思います。
さて、J昇格後5年目のシーズンが終わりました。
キリのいいところと考えれば、ここで一区切り。
Jの中でも恵まれない部類の環境にいながら、J2中位にいるだけの実力はつけました。
地域からJを目指す後輩クラブたちもたくさん生まれ、
同じカテゴリで戦うところも増えました。
まだやること、やれることはたくさんあります。
振り返るのはここまで。次の5年間のために、また前を向いて、行きましょう。